豊岡・但馬の民話昔ばなし

鼻かけ地蔵

城崎温泉駅から円山川をはさんでちょうど向こう岸側に、楽々浦(さきうら)という、普通の川では珍しい大きな入江になった場所があります。そこには、「まんが日本昔ばなし」でも紹介された、鼻のないお地蔵様「鼻かけ地蔵」が奉られています。

昔々、この地に住んでいた漁師の夢にお地蔵様が現れ「私はもう大変長い間、この楽々浦の川底に沈んでいる。苦しくて仕方が無いので、是非お前の力で引き上げて欲しい」と言われました。漁師は不思議な夢もあるものだ、と思いながらその日も漁に出掛けました。

そして川に網を投げると、いつもの倍もの魚が網から溢れそうな位入っているではありませんか。やっと網を引き揚げ、再び網を投げると、また同じ様に普段の倍ほどの魚が獲れました。そして3度目にまた網を投げ、引き揚げようとすると、今度は今までと手応えが違います。やっとの思いで網を引き揚げて見るとそこには夢に出て来た通りのお地蔵様が入っていました。

漁師は夢のお告げが本当だったことを知り、早速川のそばにある木の下にお地蔵様をお祀りしました。すると何とお地蔵様の鼻の穴からボロボロと米粒がこぼれて来るではありませんか。一日中出て来るのでお地蔵様の首に箱を掛けておきました。

漁師は溜まったお米を村の人々にも分けて、お地蔵様を大切にしていました。ところがある日、漁師は「お地蔵様の鼻の穴をもっと大きくすれば、ザーっとお米が出て来るのではないか」と考え、家からノミと槌を持ち出し、お地蔵様の鼻の穴を大きくしようとしました。

ところが手元が狂い、あっと思った時にはお地蔵様の鼻は欠けて無くなってしまいました。鼻のかけたお地蔵様からは、再びお米粒が出て来ることもなくなってしまいました。

今では、一つだけお願いごとをすると、一つだけ叶えてくれるお地蔵様にとして、地域の人々はもちろん、観光客の方々からも愛されています。

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